
どうも。くすりしリアルです。
今回は第五弾ということで、「薬を飲んでいても献血はできるのか」についてお伝えします。
「毎日血圧の薬を飲んでいるから、献血は無理だろう」と最初からあきらめている方もいるのではないでしょうか。実は、薬を飲んでいても献血できる場合は少なくありません。一方で、薬によっては飲み終わってから数か月〜数年空ける必要があるものもあります。また、2026年10月には献血の基準の一部が見直されました。今回は、日本赤十字社などの公開情報をもとに、薬と献血の関係を整理します。
まず前提:全国共通の「薬の一覧表」は公開されていない
日本赤十字社の全国向けのページでは、服薬中の献血について「ビタミン剤やごく一般的な胃腸薬などは服用していても特に支障はない」とする一方、それ以外の内服薬は、病気や薬の種類によって献血を控えてもらう場合があると説明されています。点眼薬・点鼻薬・塗り薬・坐薬なども、内容によっては献血できない場合があり、その判断は医師が行うとされています(日本赤十字社, 当日の体調不良、服薬中、発熱等の方)。
そして、献血できるかどうかの最終判断は、当日の献血会場の健診医が、体調や服薬の内容などを合わせて総合的に行うとされています(日本赤十字社, 献血をご遠慮いただく場合)。この記事で紹介する内容は、あくまで「目安」として読んでいただければと思います。
具体的な薬の種類ごとの目安は、各都道府県の赤十字血液センターが公開しています。以下では、区分が分かりやすくまとまっている福岡県赤十字血液センターの公開情報を中心に紹介します(福岡県赤十字血液センター, 服薬と献血について)。地域によって表現が少し異なる場合があります。
当日飲んでいても献血できることが多い薬
次のような薬は、献血当日に飲んでいても献血できる場合が多いとされています(福岡県赤十字血液センター, 服薬と献血について)(日本赤十字社, よくあるご質問)。()内は、対象外になる主な例です。

- ビタミン剤・ミネラル剤(貧血の治療薬、ビタミンKは除く)
- 血圧の薬(血圧がほぼ正常の範囲にコントロールされている場合)
- コレステロールなど脂質の薬(一部を除く)、尿酸値を下げる薬(痛風発作の治療薬は除く)
- 胃腸薬、下剤(感染性の下痢などの場合は除く)
- アレルギーの薬、市販の花粉症・鼻炎薬(ステロイドを含むセレスタミンなどは除く)
- 漢方薬(肝臓の病気、かぜ、ぜんそくのために飲んでいる場合は除く)
- 低用量・中用量ピル、女性ホルモン製剤(避妊・更年期障害・月経困難症などの目的の場合。緊急避妊薬は除く)
- 甲状腺ホルモン、前立腺肥大症・頻尿・過活動膀胱の薬(デュタステリドは除く。後述)
- 点眼薬・点鼻薬・塗り薬・湿布(感染症による使用や、広い範囲への使用は除く)

持病の薬を毎日飲んでいる方でも、病気がきちんとコントロールされていれば献血できる可能性がある、ということですね。
前日までの服用ならOKとされる薬
かぜ薬・解熱鎮痛薬(市販薬を含む)は、前日までの服用で、当日に症状がなければ献血できるとされています。睡眠薬・抗不安薬も、前日までの服用であれば献血できる区分に入っています(福岡県赤十字血液センター, 服薬と献血について)。
ただし、かぜ薬・解熱鎮痛薬については、血小板成分献血の場合は、最後に飲んだ日を含めて3日間は献血できないとされています。また、注射や点滴を受けた当日も献血できません(福岡県赤十字血液センター, 服薬と献血について)。
飲み終わってから数日空ける薬
次のような薬は、最後に飲んだ日を1日目と数えて3日間は献血できず、4日目から献血できるとされています(福岡県赤十字血液センター, 服薬と献血について)。
- 抗菌薬(抗生物質)、抗真菌薬、抗ウイルス薬
- ピロリ菌の除菌薬
- 抗うつ薬、抗精神病薬
- ぜんそくの治療薬(ステロイドを除く。1か月以内に発作がなく、良好にコントロールされている場合に限る)
- 神経障害性疼痛の治療薬(プレガバリン、ミロガバリンなど)
長い期間空ける必要がある薬
意外と知られていないのが、飲み終わってから数か月〜数年は献血できない薬があるという点です。福岡県赤十字血液センターでは、次のような目安が示されています(福岡県赤十字血液センター, 服薬と献血について)。
- ステロイドホルモン:治療終了後1か月
- AGA(男性型脱毛症)の治療薬のフィナステリド(プロペシアなど):服用中止後1か月
- デュタステリド(AGA治療薬のザガーロ、前立腺肥大症治療薬のアボルブなど):服用中止後6か月
- 甲状腺の働きを抑える薬(抗甲状腺薬):治療終了後1年
- 抗がん剤:治療終了後5年
特に、AGA治療薬を飲んでいる方は、「髪の薬だから関係ないだろう」と思わずに、献血の問診で必ず申告するようにしましょう。
また、乾癬などの治療に使われるエトレチナート(チガソン)は、添付文書で「本剤には催奇形性があり、また副作用の発現頻度が高いので、投与中及び投与中止後少なくとも2年間は献血を行わないよう指導すること」とされています(PMDA, チガソンカプセル10/25 添付文書)。
病気や薬の影響で、献血できないとされる薬
次のような薬を使っている場合は、病気の内容や薬の影響を考えて、献血できないとされています(福岡県赤十字血液センター, 服薬と献血について)。
- 糖尿病の治療薬
- 狭心症の治療薬、不整脈の治療薬
- 血液をサラサラにする薬(抗血栓薬・抗凝固薬)
- けいれんを抑える薬(抗けいれん薬)
献血は「献血する人の安全」と「輸血を受ける人の安全」の両方を守る必要があります。血を抜くことで体調を崩すおそれがある病気の方や、血液に含まれる薬の成分が輸血を受ける人に影響するおそれがある場合は、献血を控えてもらう仕組みになっていると考えられます。
2026年10月からプラセンタ注射の扱いが変わりました
ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤(ラエンネック、メルスモン)は、これまで使用歴があると献血できないとされてきました。
しかし、2026年10月1日の献血受付分から、この制限が見直され、最後に使用した日から3か月経てば献血できる扱いになりました。あわせて、欧州などでの滞在歴による献血制限も撤廃されています(厚生労働省, 欧州等滞在歴及びヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴に係る献血制限の見直しについてのQ&A(令和8年10月))(日本赤十字社, よくあるご質問)。
なお、海外から帰国して4週間以内の献血制限は引き続き適用されます。また、プラセンタを含むサプリメントやドリンク、化粧品は、使用していても献血できるとされています(問診での申告は必要です)。一方で、ヒト幹細胞培養上清液や胎盤由来コラーゲン製剤などは、今回の見直しの対象外で、使用後の献血は引き続き控えるよう案内されています(日本赤十字社, よくあるご質問)。
このように基準は見直されることがあり、地域の血液センターのページには改定前の記載が残っている場合もあります。最新の基準は、日本赤十字社の全国向けのページで確認するのが確実です。
自分の薬がどれに当てはまるか分からないときは
日本赤十字社は、治療薬や予防接種、既往歴の献血基準を調べられるチャットボットを設けています。ただし、すべての薬を網羅しているわけではなく、回答はあくまで目安とされています(日本赤十字社, 献血基準に関するチャットボット)。予防接種を受けた後の献血も、ワクチンの種類ごとに延期期間が決められています(日本赤十字社, 一定期間内に予防接種を受けた方)。
献血会場に行くときは、お薬手帳を持っていくか、薬の名前を控えておくと、問診がスムーズです(福岡県赤十字血液センター, 服薬と献血について)。
そして大切なことをひとつ。献血をするために、処方されている薬を自己判断でやめたり減らしたりするのはやめてください。日本赤十字社も、医師から処方された薬を献血のために自己判断で中止しないよう呼びかけています(日本赤十字社, 献血基準に関するチャットボット)。薬によっては、急にやめることで体調が悪くなるものもあります。服薬の調整が必要かどうか迷ったときは、必ず主治医や薬剤師に相談してください。
まとめ
血圧やコレステロールの薬、胃腸薬、アレルギーの薬などは、当日飲んでいても献血できることが多いとされています。一方、抗菌薬は飲み終わってから数日、AGA治療薬のデュタステリドは6か月、抗がん剤は5年など、薬によって空けるべき期間が大きく異なります。また、2026年10月からはプラセンタ注射の扱いが変わるなど、基準は見直されることがあります。
最終的には当日の健診医が判断するため、薬を飲んでいる方は、お薬手帳を持って献血会場で相談してみてください。「自分は無理だろう」とあきらめていた方も、意外と献血できるかもしれません。

くすりしリアルでした。次回もお楽しみに。
参考文献
- 日本赤十字社. 献血をご遠慮いただく場合. https://www.jrc.or.jp/donation/about/refrain/
- 日本赤十字社. 当日の体調不良、服薬中、発熱等の方. https://www.jrc.or.jp/donation/about/refrain/detail_02/
- 日本赤十字社. 一定期間内に予防接種を受けた方. https://www.jrc.or.jp/donation/about/refrain/detail_08/
- 日本赤十字社. よくあるご質問(献血について). https://www.jrc.or.jp/donation/qa/
- 日本赤十字社. 献血基準に関するチャットボット.https://www.bs.jrc.or.jp/qabot_01/
- 福岡県赤十字血液センター. 服薬と献血について. https://www.bs.jrc.or.jp/bc9/fukuoka/donation/m2_01_03_index.html
- 厚生労働省. 欧州等滞在歴及びヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴に係る献血制限の見直しについてのQ&A(令和8年10月). https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70274.html
- PMDA. チガソンカプセル10/チガソンカプセル25 添付文書(2024年1月改訂 第2版). https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/431010_3119001M1020_3_04
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を代替するものではありません。体調に不安がある場合は医師・薬剤師にご相談ください。

